器に興味を持ち始めて、主な産地を調べ始めて、お店に行って色んな器を見て、自分の好みの器が分かり始めてくる。
もっと色んな器を知りたい、歴史や背景を知りたい!
そう思って、展覧会に足を運んだり、本を買って読んでみたりすると、ふと立ち止まる。
「…器の名前って、何でこんなに難しいの?」
漢字だらけだし、長いし、楽しい気持ちはありつつ、ちょっとここで足踏みしてしまう。
これ、私の実体験です。
やきものの名前、難しいと思うかもしれませんが、基本のルールさえわかれば、やきものの情報が全て分かる、とても親切なものなんです。
ということで、この記事では、器の名称の読み方を分かりやすく解説します。
楽天市場さんに出品されている実際の商品の画像を見ながら、名前を読んで理解してみる実践編も作ってみました。好みの器や技法があれば、そのまま購入も是非。
目次
器の名称の基本ルール
器の名称の呼び方は、概ね以下の順番で読んでいきます。
①器の産地や作家(産地:備前・美濃・瀬戸・九谷など )
②器の技法(志野・織部・粉引・刷毛目など)
③器の文様(丸紋・山水・蛸唐草など)
④器の形(四方皿・丸皿・ぐい呑み・鉢など)
①から④まで、必ず全て入っているとは限りません。②から④までだったり、②と④だけだったり、表記は器によって違います。
さて、この基本ルールを知ってからは、器を選ぶ際、必ず商品名をしっかり見るようにしてください。
直感で「好きだな」と思ったものは、特にしっかり見ておきましょう。
すると、良く目にするようになる名称が、いくつか出てくるはずです。それが、あなたのタイプの産地や作家、技法や文様です。
自分の好きな産地や作家、技法や文様の名称がわかると、今度は偶然の出会いを待つのではなく、自分から探しに行くことができます。
ネットで検索してオンラインショッピングをするも良し、本を購入してさらに学びを深めるも良し、好きな産地ができたらそこの陶器市に行ってみるも良し。
一気に器探しの幅が広がり、楽しくなりますよ!
ここでは、具体的な名称について、ほんの一例しか触れていませんが、名称にフォーカスした別記事も作成予定なので、是非楽しみにお待ちください。
実践編!器の名称から、器の情報を知ろう
さあ、ここからは具体的な器を例に挙げ、読み方を見ていきましょう!
習うより慣れろ。
器の画像が私の手元に乏しいため、楽天市場さんの商品をこちらで紹介しつつ、名前の解説をさせていただきます。
ではまず、こちらから。
「京焼 清水焼 金襴手青海波石瓶」
まず、区切ってみましょう。
「京焼 清水焼」「金襴手」「青海波」「石瓶」
つまり、「京焼・清水焼(産地)の、金襴手(きんらんで)という技法を使った、青海波(せいがいは)文様の石瓶」ということになります。
言葉を簡単に解説しておくと、金襴手は、色絵などを施した器に、さらに金彩を加える技法です。
青海波は漢字そのまま、海の波をイメージした文様で、連続して同じ文様が描かれていることから、「めでたいことが続きますように」という願いが込められています。
石瓶は、石でできた急須です。
言葉の意味がわかると、ただの金ピカな急須なわけではなく、金の装飾で豪華さを表現しているのはもちろん、青海波で縁起の良さも演出されている、特別感ある器であることが読み取れます。
さて、続いてまたまた高価なものを。
「魯山人写椿 大鉢 /抹 茶碗 セット」
「魯山人」「写」「椿」「大鉢」「抹茶碗」
「魯山人の作ったものを写した(模倣した)椿文様の大鉢と、抹茶碗」のセットであることがわかります。
魯山人は、かの有名な北大路魯山人。彼の代表作の一つ、椿鉢を忠実に再現したものです。どこかホッとする色合いとデザイン。しかし、お値段はやはりしっかりとしております。
もう一つ、今度はもう少し、日常で使用できそうなお皿を。
「九谷焼 粉引 6号皿」、これはそのまま「九谷焼」「粉引」「6号皿」と分けられます。
「九谷焼の(産地)、粉引という技法を使った6号サイズのお皿」ですね。
粉引は、鉄分が多い土などの素地に、白い化粧土をかけてから、透明釉という無色透明の釉薬をかけて焼く技法。見た目が白い粉を引いたように見えることから、粉引と言われます。
このように、ネットで色々見ているだけでも、産地や技法、文様などの名前をかなり知ることができます。
今回記事を書くにあたり、ネットで色々な器を見てみましたが、ネットの商品は、必ずしも①産地や作家②技法③文様④形の順で記載があるとは限りません。
先に形が来ていたり、最後に目立つように【かっこ】をつけて産地や作家が書かれていたり。その辺は、臨機応変に、区切って読んでみてください。
展覧会や展示会で、様々な器を見てみよう!
ネットで見るもの良いですが、やはり、器は実際に目で見て、手で触れて、その雰囲気、感触などを味わいたいところです。
もし、一気に色々な器を見て学びたいなら、展覧会や展示会に出向くのがおすすめ。
展覧会の場合は、手で触れることはできませんが、食器に限らず価値の高いやきものを直に目で見ることができます。正式名称が掲示されているので、読んで理解する練習にもなるはず。
展示会なら、販売している商品を実際に手に取ることができます。「テーブルウェアフェスティバル」のような、大規模な展示会であれば、産地ごとに大きなブースを作っているので、特徴がわかりやすいです。
今回紹介した名称の読み方を参考に、ネットやリアルを駆使して、是非、器の知識を広げてください!
※WEAの記事の参考文献、引用画像サイト一覧はこちら